A. 大きく以下の３つの課題認識がありました。
① 海外現場では、機動的な現場運営のために一定量の工事資金を現場に送金しその後の管理を各現場に委ねているため、現場毎に帳簿が必要となります。　その数が相当数に上るのですが、この各現場の帳簿を、現地貨から円貨に換算し、日本側の帳簿へ集積するという作業が非常に煩雑となっていました。　さらに、全社の会計システムへ本支店合算するためには、また別のシステムを通してデータを変換する必要がありましたので、システムが重層構造化され、それらシステム間の整合確認に時間を要していました。

② 各海外現場のシステムは、各海外現場それぞれにサーバーをセットアップして運用していましたので、どうしてもシステムの立ち上げに時間と労力がかかっていました。 また、現地側のシステムからの会計報告は、取引の１件明細ではなく、勘定レベルでの集計額で報告を受けていたため、「取引内容が見えない」、（サーバーが現地側にあるため）当然、「システムの運用状況も見えない」という中で、現場の裁量に任せる部分が多くなり、現場担当者の負担が増し、日本側から現場を十分にサポート出来ないという状況が生じていました。

③ コスト実績等の会計情報は、正確に施工部門と共有する必要がありますが、ここでもシステムが別れているため、システム間でのデータのやりとりや、その整合チェックが必要となっていました。また、やはり集計金額レベルでのデータ授受となるため、明細情報の共有は行えず、BQコードなどでの詳細なコスト分析は、属人化された環境で行われていました。

A. １つは、クラウド上で複数の帳簿を統合管理出来るという点です。 この機能によって、各現場では現地通貨での独立帳簿を作成しながら、日本側でそれらを横断的に管理することが可能となると判断しました。　また、クラウド上で、各現場と日本側とが同じシステムを共有して利用するようになれば、現場立ち上げの早期化、現場担当者の負担軽減という課題の解決にもつながると考えました。
また、もう１つは、全面導入に先立ち、過去にいくつかの現場でCloudiaを試行導入した中で、当社の業務要件を正しく理解してもらえているという安心感がありました。 業務要件の理解力と、当社固有の工事管理の仕組みや自社システムとの連携も同じCloudia上でAdd-on開発できるという開発力とが相まって、企画段階から非常に具体的なソリューションを提示してもらえたこともCloudiaの選定理由です。

A. まず、各現場の会計情報を網羅的に把握できるようになりました。 例えば、現場横断で勘定検索を行い、検索結果から仕訳の明細までドリルダウンしたり、結果をエクセルへ吐き出せるため、作業効率が格段に向上しました。　また、現場から日本側帳簿への会計データの集積、全社システムへの転送処理が自動化されたため、月初２日には日本-現場間の連絡勘定整理も含めて全海外拠点の月次会計報告の取り纏めまで完了できるようになっています。
運用面では、現場へのシステムの導入、インストラクションにおいて、クラウド型システムであることのメリットを実感しています。　同じ画面・同じデータを見ながら、日本側と現場側とで質疑応答できることで、相互に協力しながら導入が進められます。 現場側でも、新システムでは、「日本から支援してもらえる」という安心感が生まれてきているように感じています。